アメリカにおける効果的な人事管理のためにアメリカ人従業員は、今何を求めているのか?

著者:ロッシェル・カップ
言語:日本語
出版社:パシフィック・ドリームス・インク
料金:$55.00
送料:アメリカ国内送料 - 何部でも一律 $9.00
             アメリカ国外送料 - 書籍は最初の1部$20.00 2部目から1部 $10.00追加

書評
ロッシェルさんは、これまでに日系企業専門ビジネスコンサルタントのエキスパートとして、日本人社員とアメリカ人社員との間の異文化コミュ ニケーションや日系企業特有の人事問題の対応に数多くの経験を積まれてきました。そのため、本書の中でも実際に起こったさまざまな人事上での事例や企業で の取り組み方をとてもわかりやすく取り上げています。内容的には、全編、ロッシェルさんの日本語による (翻訳したり、通訳者を使っているわけではありません) セミナー上での話し言葉によって書かれてありますので、人事管理の硬い話となりそうなところですが、一気に読み進んで、「ああ、なるほど、そうだったの か」と言った読後感いっぱいに浸れますことを今回のこの本でも保証させていただきます。セミナー参加者からの質問もそのままのかたちで記載してありますの で、読者の皆様も実際にロッシェルさんのセミナーを聴講しているような気持ちでお読みいただけます。それら参加者からの質問に対しましても、ロッシェルさ んは実に真摯な受け答えをしてくれておりまして、難しい内容にもよく噛み砕いて、大変わかりやすい説明となっています。
本書ではまず、ロッシェルさんの方から日系企業としてアメリカに進出した場合の人事管理の要諦についての紹介 がなされます。続いて、TI(テキサス・インスツルメンツ)で実際に行われたアメリカ人従業員へのアンケート調査に基づく調査内容の結果について言及が行 われます。このTI内での調査では、主に、アメリカ人従業員が仕事をする上で、どのようなことを大切だと考えているかに焦点を絞って行われたものでした。 結果として出たことは、驚くことにお金のことやもっと良い給料をもらうということが、彼らのNo.1の関心事ではなかったのです。逆に上司へのアンケート で部下の従業員が期待していることのNo.1はもっと良い給料であろうという結果が出ました。このような従業員と上司との間で生じた関心事の期待に関する 認識の相違から、ロッシェルさん流の「解」の紐解きが展開されてまいります。
また、アメリカは各種の雇用法や労働法(連邦ならびに州)が複雑に制定されており、それらが数年に一度は何ら かの変更も伴って変化してきております。アメリカで、人事権を持った管理職として必要最小限度知っておかなければならない法律(例えば、 FSLA:Federal Standards of Labor ActやADA:Americans with Disabilities Act)についてもロッシェルさんは、詳しく言及されています。アメリカの雇用に関する法律の大原則として、人がもって生まれた部分によるところの差別や いやがらせに対しては、非常に厳しい制裁処置を設けているということがわかります。それらは、アメリカにおける人種問題の歴史の中で、法律として昇華され て制定され、構築されてきたものであるといえるでしょう。
この本は、日本の人事担当者および管理職の皆様にも、読んで大変参考になるアメリカばかりにかぎらない人事管 理職手ほどきの基本が網羅されています。いつも対岸の火であるアメリカでの人事を巡る訴訟や裁判もそう遠くないうちに日本でも他人事ではない日がやってく るのではないのでしょうか。人事管理に関しては、確かにその国の法律や社会、そして歴史的な背景の違いなどからグローバルスタンダードなどというものは到 底存在するものではありませんが、アメリカの現状や歴史を知るということはすなわち、日本の今後の雇用関係にもひとつの指針を与えてくれるべきものがきっ とあるのではないかと思います。日系企業の管理職者のみならず、日本で部下を持ち、部下の育成をしていかなければならないすべての管理職者の方々に広くご 推薦したい本であるものと考えております。

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