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Newsletter :: Issue No. 33
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2005年 2月号          アーカイブ
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翻訳 TALK 2月号のごあいさつ

何度か1月はあっという間に過ぎ去って、この2月の「翻訳トーク」をせっせと書かなければならない時期とあいなりました。 今年の2月は、28日しかありませんので、2月号の「翻訳トーク」を書き終えた後にまた3月号の原稿書きに追われることになります。 本当に、「光陰矢のごとし」であります。

さて、皆様に弊社Pacific Dreamsについての重要なお知らせがございます。 この4月1日から弊社のオフィスが移転することに決まりました。 現在オレゴン州セーレム(Salem)市にある本社オフィスならびに支店のあるオレゴン州ヒルスボロ(Hillsboro)市の2つのオフィスを1つに統合し、ポートランド(Portland)市の南に位置するウィルソンビル(Wilsonville)市という場所にある瀟洒なオフィスビルの中に移ります。 先週、5年間のオフィスリース契約書にサインをし、2ケ月分のオフィス敷金(Deposit)の払込みも終了いたしましたので、オフィスの移転は、弊社にとりましてオフィシャルとなりました。

今回のオフィス移転は、現在のオフィスリースが3月エンドで丸3年を経過し、契約期間の満期を迎えるため、契約を更新するか、他の場所に移るかの意思決定をしなければならない時期であり、機会でありました。 現在の弊社は、全部で10人のフルタイム正社員がいるこじんまりとした所帯なのでありますが、社員と弊社クライアントの双方の便宜性を考慮して、2001年1月に第2オフィスとしてセーレムからちょうど車で1時間ほど離れた距離にあるヒルスボロ・オフィスを開設した経緯がありました。 当初、3人で細々と始まったヒルスボロ・オフィスは、昨年後半から6名にまで達し、これ以上社員を増やせる余地のないオフィスのスペース状態となりました。

逆に本社のセーレム・オフィスは、昨年初めまでは、6名いた社員数が、現在は4名になり、支店のヒルスボロ・オフィスとそのサイズが逆転してしまいました。 セーレム・オフィスは、十分なスペースもあるのですが、現在の4名の社員だけでは、非常にもったいないスペースの利用率となりまして、契約期限が切れる今年の4月に思い切って、2つのオフィスを統合させて、場所的にも、セーレム市とヒルスボロ市のちょうど中間地点にあります、I-5とI-205との主要幹線高速道路の交わる、交通の便もすぐれているウィルソンビルに白羽の矢を立てました。

そして、昨年の11月頃からポートランドにあるオフィスビル専門の不動産仲介業者を通じて、ウィルソンビルにあるオフィスビルの物件を探し始め、今度移転することになったオフィスビルに行き当たりました。 オフィスビルは、築後およそ9年の白亜の2階建てビルで、弊社のオフィスは1階になります。 建物の周りは林に囲まれておりまして、I-5という交通量の多い高速道路の出口からすぐ近くにあるにもかかわらず、静謐な空気が支配した、いかにもオレゴンらしい雰囲気の漂うすばらしい空間で、一目でこの場所が気に入ってしまいました。

紹介をしてくれたポートランドの不動産仲介業者の方も若い人であったにもかかわらず、オフィスビルのオーナーの方と大変熱心なネゴをしてもらい、なんと移転後3か月分のオフィスリースをただにしてくれる条件を引き出してくれました。 そのネゴにやり方に関しては、当事者である私から見ても、非常に参考となり、アメリカ人の中でも本当にやり手のビジネスマンの手法を目のあたりにすることができました。

今までいたセーレムのオフィスも大変快適な場所で、住まいから車で5分という立地にあるのは私にとっては、捨てがたい利点でありましたが、今度のオフィスは、さらにいっそう快適なオフィス空間となり、車で約40分かかるようになるものの、新しいオフィスに移る4月1日が待ち遠しくて仕方がありません。 そして私としてのさらなる朗報は、この移転で社員10名の中で、誰も辞める人が今のところいないということです。 しかしながら、通勤時間が長くなる以外にもうひとつ悩ましいことがひとつあります。

それは、オフィスのスペースが今度は大幅に広くなりますので、当面、そのようなスペースをなんとかもっと有効活用できる手はないかというジレンマです。 ですから、オフィスの有効活用につきましては、課題が残ります。 今考えておりますのは、弊社のオフィスをいくつかの小部屋に仕切りを設けて、日本からお越しになられたお客様にそのようなオフィス・スペースを一時的にアメリカでのビジネス拠点としてお使いになっていただけないかということです。

最近、JETRO(日本貿易振興会)が、シリコンバレーで、日本からの起業家希望者をサポートする拠点をサンノゼ地区に開設したという記事を日経新聞で読みました。 そのようなアメリカで起業を試みる方々のサポート、あるいは新たにアメリカ市場に新規参入をお考えになっている日本企業の方々に弊社のオフィス・スペースをご利用していただけるような企画を近く具体的に検討してまいりたいと思っております。 その節には、私どもの方からまたメールでのご案内をお出しするかもしれませんので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

Ken Sakai
President
Pacific Dreams, Inc.
KenFSakai@aol.com

4月1日からのPacific Dreams, Inc.の新しい住所 (電話番号ならびにFAX番号も変わりますが、そちらは来月号でお知らせできるようにしたいと思います。)

Pacific Dreams, Inc.
25260 SW, Parkway Avenue, Suite D
Wilsonville, OR 97070, USA

 


 




Ken Sakai
Pacific Dreams, Inc.
President

 


翻翻訳事始め − 第33回 「日本語と英語の構文比較:パート2」

今回も、先月号に引き続きまして、上智大学文学部教授であります安西徹雄氏の幻の名著「英語の発想」(講談社現代新書)をベースにさせていただきまして、日本語と英語との間に存在する表現や構文上の違いについて、検討・解説を再度続けて試みてみたいと思います。

前回の「翻訳事始め」で指摘をいたしました、日本語特有の「主語の欠落」(というよりは、主語がなくても日本語は意味が通じることに関しての分析)につきましては、読者の皆様からも多くの反響をお寄せいただきまして、おかげさまで共感を賜ることが出来ました。 逆に英語では、いちいち主語を明記して書かなければならないわけで、特に翻訳しゃにとりましては大きな言語的ギャップが存在していることが明確に理解できます。 ですから、英文を直訳したような翻訳では、日本文の中では到底書くことのないような主語がやたら入っていたりして、非常に据わりが悪く、落ち着きのない文章となってしまいます。

日本語においては不自然な感じが強いため、あまり使われない「無生物主語」が英語の中では頻繁に起用され、そこでは不定詞や動名詞が幅をきかせ、さらに関係代名詞などが絡んできますと、やたらに主語を形成する部分が冗長となって、そのまま日本語にするにはきわめて訳しづらい文章に映ります。 このようなことから、英語は、名詞中心の構文から成り立っている傾向が強いのに対して、日本語は、動詞中心の構文から成り立っている傾向が強いので、英語の名詞表現を動詞表現として再現することができますと、より本来の日本語のもつ生理にかなった訳文にすることが可能となります。

とまあ、前回のご紹介した内容のおさらいも含めて、日本語と英語との間の違いを翻訳者の観点からみて整理し直してみました。 今回は、もうひとつ、日本語と英語のそれぞれの「時制の扱い方」について考察を安西教授の「英語の発想」の中からご紹介してみたいと思います。

以前大変お世話になったことのありますお客様の方からのメールで知ったのですが、どうも中国語には、「過去・現在・未来」の表現上に違いが存在しないというようなことをおうかがいしました。 そのせいかどうかはわかりませんが、中国人の方々の未来に対するコミットメントの感覚がどうも日本人と持つ感覚とはズレがあるようだとのことで、まあ、私は、中国語に関してはほとんど知識を持ち合わせていませんので、ここであえて検証することは差し控えさせていただきたいと思いますが、こと時制の扱いに関しては、各言語間ではかなりのバラツキが存在することを察しいたしました。 それでは、はたして日本語の時制は、英語や中国語などと比べても完璧なもので、理路整然としているものなのでありましょうか。

例えば、以下の例文をみることにいたしましょう。

1) 明日会場にきた人にこの資料をお渡しください。
2) 日本に帰ったときは、おいしいお酒を飲みます。

どちらの文章にも「明日」、そして「日本に帰るとき」というこれから起こる未来の話をしているというのに、日本語では過去形や完了形をつかさどる「た」という表現が用いられています。 これを国語学者の牧野成一氏は、名著「ことばと空間」の中で、日本語には無意識のうちに書き手の時間的視点の移動という現象が起こっていて、本来未来形であるはずのところを過去形または完了形で表現することがごく自然になされているというのです。

1)明日会場に人が来る→資料を渡す 2)日本に帰る→お酒を飲む という2つの行為が続けて起こるわけですが、書き手の頭の中では、時間軸の視点がすでに「資料を渡す」、あるいは「お酒を飲む」といった所まで移動してしまっているので、「会場に人が来る」あるいは、「日本に帰る」という行為が過去形あるいは完了形の形となって表現されているのだと牧野氏の分析は続きます。 これは、日本語の時制というものは、客観的な時間軸の流れに対応して決まるというよりも、書き手本人のきわめて主観的な時間的視点の移動によって、決まるものだということを如実に物語っております。

しかも今まで申し上げました場合の逆のケースとして、日本語の小説の中では、過去の出来事や事件を取り扱っている描写であるにもかかわらず、現在形がしばしば用いられているということは皆さんにもご経験がおありのことだと思います。 一方の英語の方では、時制は、より客観的に時間軸の流れにそのまま対応するということが大原則のようでして、書き手の時間的視点は、一定していて、主観的な時間軸の移動というものは基本的には見られないようです。 過去の出来事を語る場合には、英語では、もっぱら過去形が起用され、現在形が過去形と共に混在するというような書き方はしないというのが普通です。

どうも日本語ほど、この時制に関して、これほど自由で寛容な言語というものはあまり例がないようでして、文学上のひとつの技法として、時間的視点を自由に移動させ、異なった時制を混在させながら用いるということで、書き手が読み手に表現のいっそう密着した共感性をもたらすという情緒的効果を与えてくれます。 これらの表現法は、牧野氏に言わせますと、「源氏物語」の中ですでに確立されていたということでありますので、およそ1000年近くの年月を経て、日本語の方が英語よりも文章の主観的な共感性をもたらしてくれるという点において、その傾向がはるかに強い言語であると言えるものかと思います。

これで、冒頭でおさらいをいたしました「主語の欠落」という日本語の特徴も、あえていちいち主語を入れなくても、日本語のあわせ持つ共感性という観点から見ると、確かに主語がなくても十分に話の内容は理解できるという論理の展開が可能となります。 よく日本語は曖昧だといわれますが、このような共感性という面で、日本語は英語と比べて、曖昧さがあっても読者は、書き手が感情移入した登場人物からその共感性を覚えて、主観的にも心情的にもなんとなく理解できてしまうという、英語世界の人々から見ると何とも不可思議な言葉の世界を醸し出している稀有な言語とでも映ることではないでしょうか。

 

 
   


パーソナル・トレイナー・プログラム

先月号の「翻訳トーク」では、私が糖尿病予備軍の一歩手前であるシンドローム Xという半病人状態であることを主治医から告げられ、大きなショックを受けたということをご報告申し上げました。

そこでこのシンドロームXをなんとしてでも早急に克服するために、以前通っていたことのある地元のフィットネスクラブに1月より再入会いたしました。 今度は、私の妻も一緒に入会をし、夫婦2人で健康状態を取り戻すことと、少しは気になる一方の体重の方も落とそうということで、ただクラブに入会するだけではなく、資格を持ったプロのパーソナル・トレイナーについて、週2回各1時間の、2ヶ月におよぶプログラムを受けることに意を決しました。

夫婦2人で受けるこのパーソナル・トレイナー・プログラムは、私どもにとってはかなりの出費でもありましたが、健康を損ねて病気になったら医者に行くという今まで続けてきた悪循環パターンから抜け出すためには、当然かかる必要経費であると肝に銘じて、妻からの熱心な助言もあって、即決することにしました。

カリフォルニアにあるAPEXというフィットネス推進協会(www.apexfitness.com)が作成したカロリーと栄養バランスのダイエット指導も含んだ総合的なフィットネス・プログラムで、パーソナル・トレイナーとして私たちに毎回ついて、フィットネスのトレーニングをしてくれるのは、APEX認定指導員の資格を持つパティさんというスリムで健康美に溢れる女性です。

トレーニングの要諦は、ウエイトとさまざまなマシンとを使った筋肉増強のためのトレーニングで、脂肪を燃やして脂肪の体内比率を下げるのと同時に、筋肉をアップさせ、筋肉質の体にすることがねらいです。 急激なダイエットをする人は、脂肪のみならず筋肉までも燃やして低下させてしまうことがあるそうで、それではダイエットをしても健康をむしろ損なってしまうということです。

食事の献立は、炭水化物や脂肪を低く押さえて、高タンパク質源を十分確保し、野菜や果物から繊維やビタミンを取るというダイエットで、今アメリカで大変流行っているロウカーボ(低炭水化物)・ダイエットの代表格でありますアトキンス・ダイエット、あるいはサウスビーチ・ダイエットに近い方式であるかと思います。 サウスビーチ・ダイエットというのは、私も今回はじめて耳にしたのですが、1日になんと5食を取るというダイエットで、その代わり、1回の食事は、当然少ない量になります。 特に私のような糖尿病予備軍の人間には、少ない量の食事を1日に何回にも分けて取るというのは、重要なことでして、そうすることによって、血糖値やインシュリンの量が一定に保たれるということです。(ということで、インシュリン・ダイエットとも呼ばれているようです。)

パティさん指導によるパーソナル・トレイナー・プログラム、開始してからそろそろ1ヶ月がたちますが、体重は、5ポンド(5キロではありません!)、ウエストは2インチ(2センチではありません!)も減りました。 妻はトレーニング終了後、筋肉が痛い痛いと言っておりますが、私にとっては、どうもピッタリのプログラム・メニューとなっていて、筋肉痛もほとんどありません。 週2回、フィットネスクラブに行ってトレーニングを受けることが大きな楽しみとなりまして、今や精神的にも肉体的にも私にとっては大きなストレス・リリーフとなりました。

 

 

書評「日本のもの造り哲学」
藤本 隆宏 著
日本経済新聞社 ・2004年6月25日刊・349ページ

「失われた10年」や製造業の空洞化などの多くの日本悲観論が今までに語られてきているものの、そのような諸説には組みできないという東大大学院経済学部教授であり、ものづくり経営研究センター所長でもある藤本隆宏氏が本書の中で、長年にわたる日本のもの造りの現場観察と膨大なトヨタをはじめとする自動車産業の研究を通じて、日本製造業の強さの源泉についてあらためて説得力ある論説の展開を行っています。

まず藤本教授は、「生産とは、工程から製品へと設計情報を転写していく作業である」という定義付けをされ、トヨタなどの企業では、その設計情報の転写の流れがきわめてスムースに出来ているからこそ、常に高い生産効率が維持できるという、しごくごもっともなご論調を張っていらっしゃいます。 そして、顧客が製品を購入し、消費してくれるのは、基本的には、その製品の持つ設計情報なのであるという考え方に基づいて、すぐれた製品とは、「アーキテクチャー」、すなわち、設計思想の枠組みを内蔵するモノであるという解説を日本の自動車産業を引用しながら試みています。

さらにアーキテクチャーに対して、企業の中で必要とされる「もの造りの組織能力」にはそれぞれに特徴的な個性があり、アーキテクチャーと組織能力の個性との間には、相性があるという。 一般に日本企業が持っている組織能力というのは、体育会系的な「擦り合わせ(インテグラル)型」であり、欧米のそれは、文化会系的な「組み合わせ(モジュラー)型」であるというような比較から、企業の持つ企業文化という個性とアーキテクチャーの相性がうまくマッチングできている企業は、もの造りの力が会社の収益に直接結びついているので、当然競争も勝ち抜き、そうでない企業は、負け組に甘んじているというご指摘には、理論的というよりも、現場で培ってきた説得力を感じました。

トヨタのように強い製造現場を持ち、本社として組織に見合った国際的戦略性を身に付け、高い収益力を確保している超優良企業の多くは、独自の組織能力と設計思想のバランスが大変すぐれていることを確認し、「もの造り日本」がこれからも進むべき道として、「もの造りの現場」から発想する企業戦略論の重要性をあらためて再認識させてくれる内容で、製造業に携わる方々にはぜひとも一読をお奨めしたい良書であるかと感じました。

*Pacific Dreams, Inc. では、「日本のもの造り哲学」(日本経済新聞社刊:$26.00 Each, Plus Shipping & Handling $6.00)を在庫しておりますので、ご希望の方は、お電話 (503-588-7368) または、E-mailで bookstore@pacificdreams.org まで、ご連絡ください。

 

   

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