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Newsletter :: Issue No. 36
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2005年 5月号          アーカイブ
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「翻訳 トーク」  2005 年5月号のごあいさつ

今月号も月末滑り込みセーフで、この記事を書く羽目となってしまいました。読者の皆様からは、書籍の案内などは毎週来ているのに、肝心の「翻訳トーク」は、どうなっているのだろうとご心配(?)されているご同輩諸氏もいらっしゃるのではないかとご察ししいております。 私の執筆することに対しての心積もりが、ここのところどういうわけか萎えてきておりまして、誠に申し訳ございません。 多分、一種の 5 月病であるのかもしれませんが、深刻なことはまったくありませんので、また、書く意欲が自然に湧き上がってくるのを当面は辛抱強く待ってみたいと思います。

新オフィスに移りましてから、今月、地元にありますクラッカマス高校の日本語を習得している生徒さん 4 名がポートランド日本人商工会からの要請とご協力で、授業の一環としての弊社まで会社見学に来られました。 4名の生徒さんは、みな女子生徒さんで、内訳は、 2 名が高校 4 年生(シニア)、 2 名が 3 年生(ジュニア)でした。日本語は、高校 1 年のときから勉強をしているということで、自分たちの自己紹介は、日本語で行ってくれました。

日本語を外国語として勉強することを選んだ理由を質問してみましたところ、英語とはまったくかけ離れた言葉を勉強したかったから、何となく親しみを感じていたから、アジアの言葉だからなどがその主な答えでした。 また、大学に進学して何を専攻したいかを各生徒さんに訊いてみましたところ、自分は医師になりたいので、医学を専攻( 2 名)、心療カウンセラーになりたいので、心理学を専攻( 1 名)、気象予報官になりたいので、それに関係する科学分野の専攻( 1 名)ということで、自分たちの大学での専攻志望が将来のキャリア志望にそのまま結びついている答えであったので、びっくりするとともに、深い感銘を生徒さんに対して抱きました。

クラッカマス高校で日本語を教えていらっしゃいます野口シュンプ徳子先生からによりますと、企業訪問に翻訳会社である弊社を選んだことについて、自分たちの日本語能力に対してずいぶん不安が最初はあったということでしたが、そんな心配を吹き飛ばして、各生徒さんたちは積極的に弊社で行われている翻訳業務の流れやオフィスで使用している翻訳支援ソフト(トラドス)について私たちに質問をしてくれていました。

オレゴン州では、 2006 年 9 月の新年度から、高校卒業資格として、将来のキャリア形成に関係する教室以外での何らかの学習活動を必須項目にするということが正式に決まっています。 そのひとつとして、授業で学んだことを企業訪問することでどのような仕事が将来考えられるのかを実際に生徒さんに感じ取ってもらおうということの主旨であります。 今回、クラッカマス高校の生徒さんに訊いてみましたところ、クラッカマスをはじめとするポートランドの公立学校郡の中では、すでにこのようなプログラムがカリキュラムの中に組み込まれているということでした。

日本語を勉強している高校生の生徒さんたちに弊社での企業訪問を通じて、少しでも「翻訳たるもの」がどのような仕事であり、どのような環境で翻訳者が仕事をしているのかを見てもらうことが出来ただけでも、私としては、満ち足りた気持ちになりましたし、逆に生徒さんたちの将来に対して明確な目標を持って、高校時代を有意義に過ごしている姿に感銘を覚えた次第でありました。

Ken Sakai

President

kenfsakai@pacificdreams.org

4 月 1 日から Pacific Dreams, Inc. の住所 ならびに電話番号・ FAX 番号が下記の通り、変更となりました。

Pacific Dreams, Inc.
25260 SW, Parkway Avenue, Suite D
Wilsonville, OR 97070, USA
TEL : 503-783-1390 FAX : 503-783-1391

 


 




Ken Sakai
Pacific Dreams, Inc.
President

 


翻訳事始め − 第 36 回「 Extrovert (外向型) vs. Introvert (内向型)」

組織の中で働く個人の性格判断を行う性格診断ツールとして、マイヤーズ・ブリッグスによるパーソナリティ・テストというものがあります( MBTI R : Myers-Briggs Type Indicator )。ユング派の心理学者であったイザベル・マイヤーズ は、 1943 年に彼女の母であるキャサリン・ブリッグスとともに、性格分類を行うことのできる有名な心理学テストメソッドを開発しました。 現在でもアメリカ企業の多くでは、このすでに古典的とも呼べる心理学テストメソッドを社内での社員向け性格分類診断ツールとして幅広く採用をし、社内のチームワークの活性化や効果的な人事配置にと役立てています。

このテストの中では、基本的な4つの質問があり、その質問に答えたそれぞれの頭文字をとって、性格判断の分類として整理をし、 16 の性格分類とその各分類の特徴を掲示しています。 それぞれの質問の概要は、以下のようなものです。

1. 最も自然なエネルギーの発露 (Most Natural Energy Orientation)
 E : Extraversion (外向型)  Vs. I : Introversion (内向型)

2. 認識する、あるいは理解する方法( Way of Perceiving or Understanding )
 S : Sensing Side (感知検出型) Vs. N : iNtuition Side (直感把握型)

3. 判断基準ならびに選択方法( Way of Forming Judgments and Making Choices )
 T : Thinking Side (分析思考型) Vs. F : Feeling Side (主観感受型)

4. 外部世界に対する行動適応( Action Orientation towards the Outside World )
 J : Judging Style (思慮分別型) Vs. P : Perceiving Style ( 知覚順応型 )

これらの質問に答え、その答えによって、確かに人は、 16 ある分類の中のひとつにあてはめることができるのですが、分類に入るそれぞれのカテゴリーへの度合いには、人によって当然のごとく強弱が存在していて、そのところを十分理解していないと逆に組織の中で差別を助長しかねないような悪影響も出てくることに注意を払わなければなりません。 従いまして、このテストを主催して審査する資格を持つ心理学の専門家を通じて、テストの実施とテスト後のカウンセリングやオリエンテーションを行うことが通常義務付けられています。

さて、前置きが少し長くなりましたが、今月のコラムでお話をしたかったのは、翻訳者の一般的なパーソナリティに関しての考察であります。  4 つある上記の質問の中で、3つは、翻訳者という枠組みの中では、特にこれはといった共通項を見出せない傾向になろうかと思われますが、最初の質問であります、“最も自然なエネルギーの発露”という質問事項におきましては、翻訳に従事されている大部分の方々は、 Introvert (内向型)の分類に入るのではないかという結果が予想されます。

弊社の組織内を見ておりましても、それは誠に顕著でありまして、おしなべて社内翻訳者として長続きをしてくれるスタッフは、 Introvert のタイプであります。 また、弊社で長期にわたってお世話になっております社外にいるフリーランスの翻訳者の方々も、例外的な方はいらっしゃるとしても Introvert の分類に当てはまる方が支配的なのではないかというのが、私の経験則であります。

ここで、ひとつ重要なことは、一般的にそのような性格的タイプを持つ翻訳者の方々には、 Introvert なる性格を十分肯定的に生かすことのできる職場環境であるとか、評価基準などを他とのバランスを考慮しながらも設定することにあると、やはり今までに翻訳事業を経営してきた私の経験則から申し上げることが出来るものと思います。そして、職場でのトレーニングやひいては、長期的な視野で見た職業人としてのキャリア・パスの指導や開発につなげられることができれば、それは個人にとっても組織にとっても大変有意義なことだと考えられます。

最近は、私も年齢が 40 代後半にさしかかってきたせいなのか、「人を育てるのが経営者としての仕事」であることを折りに触れて痛感することが増えてまいりましたので、このマイヤーズ・ブリッグスの母と娘が今から 60 年以上も前に残してくれた性格診断テストは、組織での正しい適用の仕方と組織に生かす趣旨の理解を徹底できれば、各個人のスキルや職業人そして組織人としての発展と成長を会社としてサポートしていけるようにと志を新たにしております。 また、この志は、単に社内のスタッフだけに留まらず、社外で弊社のために同じく尽力されているフリーランスの翻訳者のためにも活用できるようにと高邁なビジョンを遠い将来に向けて、ボンヤリではありますが、考えてまいりたいと感じております。

Ken Sakai
President
E-mail: KenFSakai@pacificdreams.org
 
   

 

 

 

書評「バリュー・プロフィット・チェーン:顧客・従業員満足を利益と連鎖させる」

The Value Profit Chain : Treat Employees like Customers and Customers like Employees

ジェームス・ヘスケット、アール・サッサー & レオナード・シュレシンジャ− 著

山本昭二 & 小野譲司 訳

日本経済新聞社

本書のサブタイトルにもなっている「従業員を顧客のように扱い、顧客を従業員のように扱う」というのは、なかなかユニークで斬新なコンセプトではないかと思い、思わずこの本を購入し、今月の書評に選ぶことにしました。

ハーバード・ビジネス・スクールの著名な 3 教授によって、執筆された本書で明快に終始貫かれている主要ポイントは、「会社として成功する組織にするためには、経営陣は、いかにして従業員に尽くし、顧客をいつ切り捨てるのかを適確に知ることにカギがある」ということが本書を読みすすめていくうちに実感してまいります。 まさにこれは、経営上の逆転の発想ともいってもよく、このアプローチを実現可能な戦略として成功してきた数多くの具体的な企業の事例を手際よく整理して紹介してくれています。

本書の中には、随所に経営者や幹部社員にとっては、至極のアドバイスがちりばめられており、例えば、「利益を増加させるには、すでに満足している顧客をさらに満足させることが最も効果的である。多くの顧客を満遍なく満足させることでは、利益増加をもたらしてはくれない。」とか、「顧客を従業員のよいうに、<解雇>すべき時がある」「従業員を計画的に離職させるのであれば問題はない」「低すぎる従業員の離職率はかえってマイナスの効果がある」といった具合です。

実例として挙げられた企業の成功例としては、ウォルマート、 GE 、サウスウエスト航空、 IBM 、フェデラルエクスプレスなどお馴染みの超一流企業ですが、中には、ウィロークリーク・コミュニティ・チャーチやニューヨーク市警、バンガードグループなどといった日本人にとってはそれほど馴染みのない非営利組織やローカル企業での成功例もあわせて取り上げられているのは、かえって、読者の関心をいっそう引き寄せるのではないでしょうか。 それは、この本で書かれている内容が、企業や組織の規模や業種、そしてグローバル企業であろうが一ローカル企業であろうが、それらには関係なく、普遍的に幅広く適応することのできる成功への真理をまさに突いてきているからでありましょう。

顧客、従業員、取引先、そして投資家がどのように一体化して、企業や組織の価値を創造し、それを高めていくのかという永遠のテーマに対して、複雑なパズルの謎解きに果敢に挑戦した意欲作であり、ミッシングリンクを埋め合わせるものが本書でいう「バリュー・プロフィット・チェーン」に他ならないと締めくくっています。 各章の終わりごとに「マネージャーへの質問」という項目をつくり、難解なテーマであってもそれをいかにして毎日のオペレーションやマネージメントの世界の中で、応用させて、実践に移していくことができるのかを検証させてくれます。その意味で、管理職の方々には特にお奨めしたい良書と言えます。

Ken Sakai

KenFSakai@pacificdreams.org

*Pacific Dreams, Inc. では、「バリュー・プロフィット・チェーン:顧客・従業員満足を利益と連鎖させる」(日本経済新聞社刊: $40.00, Plus Shipping & Handling $6.00 )を常に在庫しておりますので、ご希望の方は、お電話 (503-783-1390) または、 E-mail で bookstore@pacificdreams.org まで、ご連絡ください。

 

   

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