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Newsletter : Issue No. 39
        翻訳トーク
2005年 8月号          アーカイブ
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「翻訳トーク」 2005年8月号のごあいさつ

8月の前半に、東京に出張で1週間ちょっと行っておりました。8月に日本に行くのは18年ぶりのことで、本当に久しぶりの真夏の日本を味わってまいりました。

日本の真夏の猛暑は、できるだけ避けたいという意図から、アメリカ在住の日本人のビジネスパーソンも8月は、極力、出張などでは日本に行くことはなされないようですが、たまには、8月も暑ささえ、我慢すればよいと思い、暑さはそれなりに覚悟して出かけたものでした。

滞在中の東京は、暑い日で、最高気温が35℃、炎天下の中を営業して歩くというイメージを抱いてはいたのですが、意外にも灼熱の太陽がギラギラ照りつけるという感じではなかったですね。こちらアメリカ西海岸では、この夏の時期には毎日当たり前のからっとした、抜けるような夏の青空というものは、とんとお目にかかることはできず、晴れてはいるものの、なんとなくどんよりとした空の下(スモッグなのでしょうか)で、やたらに湿度が高いという感じでありました。

日本のビジネスパーソンも、普段はご出張でなかなかアポが取れない方々でありましても、日本の8月は、バケーションシーズンのピーク時なので、出張(特に海外出張)は極力抑えているという方が多いことがわかりまして、お会いしたい方々には、すべて順調にアポをとることができたのは、ちょっと意外でもありました。

そんな中で、参議院本会議での郵政民営化法案の否決に始まって、小泉首相の衆議院解散、通称「郵政解散」を連日テレビのニュース番組で眼のあたりにいたしました。しかも党内自民党の民営化反対派議員には、対抗馬として有力候補を反対派議員の各選挙区に党公認候補として擁立するという前代未聞の報復的選挙戦力に打って出るあたり、やはり小泉さんは並みの宰相ではないことを自ら立証しているようなもので、大いにうならされました。

しかしながら、日本は、いつからこのような報復的措置を平気でとるような国家になってしまったのでしょうか。報復的措置というと、私の住んでいる国の最高指揮官がやはりそのような措置をいともたやすく取りたがり、国際間、特にヨーロッパ諸国との間での物議をかもしてきたことは世界中で周知の事実です。小泉さんはどうもその指揮官からの感化の洗礼でも受けてしまっていると思うのは、私のうがった見方でありましょうか。

郵政民営化にしても、小泉さんが主張なさっていることそのものはよくわかるのですが、日本の郵政や郵便局がそれほど切実に組織の民営化への改革を求められているかという点では、私は長く日本を離れて暮らしておりますので、なかなか実感としては沸いてまいりません。少なくとも、アメリカの郵便局(アメリカは、郵政公社で、今の日本と似たような組織)をみていますと、切実なる民営化改革を必要としているのは、むしろこの国の郵政ではないかという気がしてまいります。

アメリカでの郵便物の紛失率はきわめて高いし、サービスの内容や質も日本のそれと比べてみてもはるかに劣っていると私の眼には映ります。しかも仕事の生産性が高くない割には、高い給与体系や福利厚生制度が維持され続けているようです。しかし、アメリカでは、郵政民営化改革は決して政治の議論にはなりえるものではないと思います。多くのアメリカ人中高年の労働力がそこでは、社会の受け皿となって温存されているからです。これをズバッと切って民営化するというようなことは、誰にもできることではありません。

したがいまして、私は、毎週のようにアメリカの地元の郵便局でできる非効率で退屈極まりない長い列の待ち時間にひたすら我慢を続けていかなければならないのです。

Ken Sakai

President

kenfsakai@pacificdreams.org

4 月 1 日から Pacific Dreams, Inc. の住所 ならびに電話番号・ FAX 番号が下記の通り、変更となりました。

Pacific Dreams, Inc.
25260 SW, Parkway Avenue, Suite D
Wilsonville, OR 97070, USA
TEL : 503-783-1390 FAX : 503-783-1391

 


 




Ken Sakai
Pacific Dreams, Inc.
President

 


翻訳事始め − 第40回「翻訳のプロジェクトマネージメント」

弊社のような翻訳中心に事業を展開している会社にとりましては、起用する翻訳者の質も当然のことながら、実際の翻訳業務フローを終始つかさどるプロジェクトマネージャーの仕事ぶりによって、翻訳プロジェクトの成否が決まってまいります。それは、とりもなおさず、会社にとっての利益貢献にも直結をしてくるきわめて重大な要素を成しています。

弊社では、他の翻訳会社さんからの翻訳プロジェクトのお仕事も頻繁にお引き受けしておりますので、他社さんのプロジェクトマネージメントをみておりますと、それはまさに弊社にとりましては、他山の石として映るときがあります。プロジェクトマネージャーによって、円滑で的を絞った正確なコミュニケーションをしてくる方もあれば、こちらから必ず再確認を入れなければ、意図がはかりかねる、あるいは指示がいまひとつ不明瞭な方もおります。

翻訳者と翻訳会社との関係は通常、メールでのやり取りがほとんどで、ときには電話での応対もあるのですが、プロジェクトマネージメントのコミュニケーション上でのポイントは、以下の3つに集約されるのではないかと考えております。

1. 速やかに回答または指示する(スピード)
2. 明瞭に回答または指示する(クリアリティ)
3. 丁寧に回答または指示する(ポライトネス)

これらは、まったく当たり前のことばかりなので、ここにあえて書き上げるのが恥ずかしいぐらいの項目なのですが、この3つをベースにして、プロジェクトマネージャーは、各プロジェクトに関する仕様(スペック)や専門性(エキスパティーズ)をタイミングよく、的確にクライアントならびに翻訳者に伝えていかなければなりません。

TRADOS(トラドス)などの翻訳メモリー(TM)を駆使する翻訳支援ソフトを使うプロジェクトにおきましては、プロジェクトマネージャーは、翻訳支援ソフトについての機能やTMのクリーンアップ作業やアップデートの仕方についてもちろん精通していなければならないことは言うまでもないことです。

さらに、翻訳プロジェクトで使われるソフトウエアは、グラフィックやプレゼン作成ソフト(DTP:Desk Top Publishing)、そしてウェブサイト作成に使われるHTML関係のソフトウエアにまでレンジが及びますので、それらのソフトについても十分使い切ることのできるスキルと知識とが要求されます。

弊社では、翻訳業務は、すべて「プロジェクト」との位置付けをしておりますので、当然のことながら、プロジェクトの進捗管理、そして納品に至るまでの納期管理が、プロジェクトマネージャーに課せられた最も重要で、最後まで遂行しなければならないプロセスであり、責任の所在ということになります。

弊社では、今のところ特にプロジェクト管理用の特別なソフトウエアは使用していませんが、その代わりにトヨタのカンバン方式というわけでもないのですが、オフィスの壁に掛かったホワイトボードを使って、それぞれのプロジェクトとそれにかかわる翻訳者や社内スタッフのスケジュールを毎日書き込みして、スケジュールのアップデートをこころがけています。

この方式は、特に私の方からの指示で始めたものではなく、プロジェクトマネージャー自らの自発的な考案によるもので、何でもコンピュータばかりに頼るのではなく、オーソドックスでシンプルでありますが、何よりも社内の全員が自らの眼で簡単に確かめられるカンバン方式というものは、実に気持ちのよいものだとあらためて感じております。

弊社には、優れた経験豊かなプロジェクトマネージャーが2名おります。きっと、メールやお電話でやり取りをされている方も多いのではないかと思います。おかげさまで、別途私がお客様や翻訳者の方々とお話させていただく際に、弊社のプロジェクトマネージャーに関しましての評判は、すこぶる良好で、私が出張してアメリカ国内や日本で飛び回っている間でも、私も安心してプロジェクトを彼女たち(2名とも女性)に任せることができるという次第です。

優れたプロジェクトマネージャーに恵まれているわけですから、後は、経営者としての私自身の経営手腕次第というところになってくるわけです。会社を経営して10数年があっと間に過ぎ去りましたが、経営については、だんだん言い訳が効かない状況になってまいりました。私としては、今後とも、弊社の翻訳事業を最重要ビジネスとして位置付けし、継続して成長させてまいりたいと考えております。そのためにも、すばらしい人材の発掘と教育ならびに育成を地道に、毎日の努力を通して築き上げていく所存です。組織としての翻訳事業での成功は、総合的なチームワークと人財の結晶の賜物であると確信しているからです。

Ken Sakai
President
E-mail: KenFSakai@pacificdreams.org

 

 
   

Ken Sakaiのブログの紹介!

以下の2つはKen Sakaiのブログ(ウェブ上での日記)からのエントリーです。他のエントリーを読むには、ここクリックして下さい。

娘のアルバイト
July 29, 2005

私の一人娘のまりえ(漢字で書くと、真理恵)が、大学の1年目を終えた今年の5月エンドから、本日(7/29)まで、私の会社で、アルバイトをしました。

親の経営している会社で自分の子どもを働かせるというのは、当初ちょっと不安な気持ちがしました。自分の子どもだからといって、特別扱いや特別待遇などは出来ないし、会社で働いている社員の人たちは皆どう思うだろうかとか、きちんと対応してくれるのだろうかと、私も親馬鹿なものですから、心配していました。

でもフタを開けてみれば、社員の人たちは皆、娘に対して、やさしく親切に対応してくれましたし、セールス・マネージャーのきちんとした指導のもとで、セールス・アシスタント的な仕事をこの期間やってくれました。

以前、ある人事関係のセミナーに出席したときに、講師の先生(ロッシェル・カップさんだったように思うのですが)から、もし自分の妻や子どもが自分の会社で万一仕事をした場合、正当な待遇を受け、毎朝会社に行くのが楽しいという職場を築いていますかという質問をセミナー参加者全員が受けていたように記憶しています。

まさに、現実としてそのような状況に期せずして、自分の会社でもなってしまったわけでしたが、社員の人たちの娘に対する対応などを見て、自分自身が逆に社員から会社の評価を受けているのではないかという気持ちにさえなりました。

弊社も以前から比べますとよい社員が入社してきてくれて、しかも少しづつではありますが、よい社員の人たちが定着してくれていますので、今の弊社の業績を支えてくれる、まさに大きな原動力になってくれています。

娘も、セールス・アシスタントとして、短い期間ながらも、弊社のセールス・マネージャーから学んだことは、いろいろとあったようで、満足して、8月中旬から始まる大学2年生の新学期にこれから備えようとするところです。

しかし、親としては、娘を会社の中でも甘やかしてしまっていたと大いに反省をしておりますし、来年は、他人の会社で、もっと厳しく仕込んでもらわないと駄目だなということも娘には言ってきかせようと思っています。

それでも、娘が働いてくれた期間は、社内も和やかであったような気がしましたので、社員の人たちにもこの場をお借りして、協力してくれたことを心から感謝したいと思います。

Sarah McLachlanのCD
July 26, 2005

6月の「父の日」に娘からプレゼントとしてもらったSarah McLachlanのCDをここのところ毎日、オフィスまでの車での通勤時間に聴き入っています。

彼女が最近出したCDで、タイトルは、"After Glow"。私は、早くから彼女のファンでして、今回のCDは、最も密度の濃い最高傑作だと思い、飽きもせず、繰り返し繰り返し、同じCDを聴いてばかりいるのです。

彼女独特の精神世界と詩作並びに曲作りは、まさに比類無くユニークなもので、彼女の新しいCDが出されるたびに感じる、斬新で、骨太なソングライティングには、本当に圧倒されてしまいます。

彼女は、このCD製作を前後して、最初の赤ちゃんもお生まれになったということで、彼女の幸せそうで、自信に満ちた写真がCDのアルバムの中に何枚も掲載されているのも今回とても印象的です。

曲想や作詞は、ちょっと暗く、けだるい感じもしますので、多分お好きな人とそうでない人にはっきり分かれてしまうのではと思いますが、まだ彼女の曲をお聴きでない人には、特にお奨めします。

あと10年ぐらいしたら、キャロル・キングやジョニィ・ミッチェルぐらいの確固としたポジションをポピュラーミュージックの世界で彼女はきっと築いているのではないかとさえ期待が持てます。

最近ここまで、CDを聴いて「ハマッた」ことはなかったものですから、ブログにも書いてみました。人間、歳月を重ねていくと、以前のようには、「はまる」ことも少なくなりますので、通勤時間は、彼女のCDのおかげで、本当にささやかなのですが、私のちょっとした至福の時間となりました。

 

 

書評 − 「小さいことにくよくよするな!<愛情編>」
"Don’t Sweat the Small Stuff in Love"

Click to enlargeリチャード & クリスティーン・カールソン 著・小沢 瑞穂 翻訳

サンマーク出版 ・2000年6月1日刊・274ページ

この書籍は、心理学博士で人気売れっ子作家でもあるリチャード・カールソンが書き綴った「小さなことにくよくよするな」シリーズの最終完結編であり、この「小さいことにくよくよするな」シリーズは、先に出されている3編のもの(基本編、家族編、仕事編)とあわせると、実に200万部以上がアメリカだけで売れたという、ミリオンセラーのシリーズとなっています。

今回の第4編目であるこの愛情編は、奥さんであるクリスティーン(愛称はクリス)との初めての共著ということで、いつもながらの100にわたるアイデアが手際よくご披露され、どこの箇所からでも気軽に拾い読みしていくことのできる、私のような特にぐうたらな読者にとりましては、まことにフレンドリーな構成となっております。

それぞれの項目は、リチャードとクリスが夫妻として共同で選んでみてはいるものの、基本的には、夫であるリチャードが中心になって執筆を進めているのに対して、特にクリスが執筆した項目にはタイトルの下にはっきりと“クリス”というカッコ書きがついていますので、これは、彼女が特に強い関心があって、彼女自身が書かずに入られなかったトピックスなのだなということが、クリアに伝わってまいります。

この「小さいことにくよくよするな」シリーズの長年の愛読者ファンである私にとっては、リチャードのいかにもアメリカ人らしい、より高いところに理想や目標を定めて、それに向かって地道に努力をしていけば、あまり小さなことには、くよくよと悩んでみても仕方がないことなのだという主要メッセージが本書全体の中にも一貫して貫かれているような読後感に浸ることができます。

だからといって、カールトン夫妻は、何も崇高で完璧な夫妻間における愛情関係や人間関係の構築について講釈することを試みているわけではなく、「どんなフラストレーションでも軽くすることはできるし、いさかいやケンカがあっても前よりずっと楽に対処することができるようになる」という実践性を主軸に据え、きわめて現実的なアプローチをたどって、数々のすぐにでも日常生活の中で実行することのできる実践型のアイデアを各項目内でそれぞれに提案してくれています。

これらの項目に書かれてある内容を一つ一つ丹念に読み進めていけば、どんな方でも必ずや思い当たるフシへと出くわすこと請け合いで、「読者であるあなたにも必ず実行できる」ヒントやサジェスチョンに満ち溢れている書籍であることを実感を持って体得できるものではないかと思います。

最後に、とりわけクリスの書いた箇所を拾い読みした中で、リチャードとクリスはまさに「似たもの夫婦」だという感じで、「クリスがあって、リチャードあり」だということがよくわかります。今までの「小さいことにくよくよするな」シリーズの中でも、リチャードは、クリスからの話をいくつも引用したり、エピソードを紹介したりしておりましたが、本書をもって、この結婚生活14年になる夫妻の人間関係の根幹となるさまざまなシーンを垣間見た気持ちになり、とてもほのぼのとした感情にさせられました。このような気持ちや感情を持って、相手に接していくということがとりもなおさず、この「小さいことにくよくよするな!<愛情編>」の読後に得られる本当のベネフィットではないかと申せましょう。

夫婦や恋人との間の人間関係を今一度見つめ直してみたいとお考えになっていらっしゃるすべての方々に、とっておきの隠れた良書として、本書を幅広くお勧めさせていただきたいと存じます。

Ken Sakai
KenFSakai@pacificdreams.org

*Pacific Dreams, Inc. では、「小さいことにくよくよするな! <愛情編>」(サンマーク出版刊:$34.00 Each, Plus Shipping & Handling $6.00)を在庫しておりますので、ご希望の方は、お電話 (503-783-1390) または、E-mailで bookstore@pacificdreams.org まで、ご連絡ください。

   



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来月号の翻訳トークもどうぞお楽しみに!