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2026年5月19日

HRMトーク 2026年5月号 「2026年はAI失業時代の元年になるのか」

ChatGPTが一般公開されたのは2022年11月のことで、翌年2023年からアメリカをはじめ全世界でこの生成AIが怒涛の如く爆発的に普及したというのも、まだ皆様の記憶にも新しいところではないかと察します。当時生成AIイコールChatGPTだとばかりに考えられていましたが、今や各大手ITプラットフォーマーがそれぞれ独自の生成AIを開発して世に送り出しており、もはや生成AIの世界も群雄割拠の激戦市場、レッドオーシャンへと様変わりです。その生成AIの次に来るのがAIエージェントの進展だといわれており、今年2026年後半からはその動きが本格化する気配です。

従来の生成AIは基本的に1回の質問や指示に対して回答を出してくれるものでしたが、AIエージェントになると、今度はその質問や指示に対してAIが自律的に考え、操作や手続きといった一連の行動を自動的に実行してくれるところまでやってくれるというわけです。それらの行動や実行は従来は人間の頭脳や手によってなされていたものでしたが、もうそうではなく、今までのように人間に頼る必要はなくなってしまうことになります。結果として、人の雇用、とりわけホワイトカラーの雇用はこれから消滅の道のりに向かって徐々に進んでいくということが暗に示唆されているのです。

すでにChatGPTであっても、単に調べ上げて質問に答えてくれるだけのレベルから、実際の作業操作までを自動で進めてくれるエージェント機能がいまや備わっているといいます。このように人がやっていた業務や作業をAIが代替できるとなると、雇用に与える影響と変化のスピードはもはや無視できないレベルになることが予想されます。すでにその兆候が出ているのは、ソフトウェアのプログラミング業務です。AIにプログラミングの作業をさせると、生産性は人の10倍にもなるという事例が出始めているとのことです。ソフトウェアのプログラマーは少し前までは引く手あまたの職種で、構造的に人手不足が叫ばれていた最も象徴的なポジションではなかったかと思います。

ソフトウェア以外の分野でも、コールセンター、経理や総務などの事務職、翻訳、市場調査やデータ集計などの業務はAIにとって代えられる公算がきわめて高い職種ではないかと考えられています。私が従事しているコンサルティング業界にあっても将来的に見て決して安泰であるとは申し上げられないと思います。従来は外部のコンサルタントに依頼を出していた相談内容も賢くAIをご自身で使うことによって、知りたいことの75%ぐらいまではAIがしっかり答えてを出してくれるのではないでしょうか。残りの25%をようやくコンサルタントに相談するとなると、コンサルタントの仕事はそれだけAIにとって代えられ、依頼を受ける仕事量や報酬はかなり目減りすることになります。これはすでに現実に起こり始めていることだと申し上げられます。

かといって、それらの業務が完全にAIに置き換えられるには、まだ時間はそれなりに残されているとは言えるでしょうが、そのスピードはかつて考えられていたよりも指数関数的に早まっているような気がいたします。その一方でホワイトカラーからブルーカラーへの雇用のシフトがみられます。世の中にはAIがどんなに進展したとしてもAIには置き換えられない職種や業務というものは必ずあるわけです。自動化が進み、何でもかんでもAIやロボットで人間の作業が出来るのかというと、決してそういうわけでもありません。医師やカウンセラー、看護師や介護士といった職種は将来的にもAIの影響を最も受けずにすむことでしょう。同じく、アーティストや芸術家も基本的にそうなのではありますが、AIが作曲した楽曲や執筆した小説なども最近は出まわっているようですので、やはり油断はできません。

未来学者であるレイ・カーツワイル氏が提唱した「Singularity(シンギュラリティ)」は、AIが人類の知性を超えることで、文明や社会に劇的な大変革をもたらす「技術的特異点」のことを指していて、それが2045年に現実のものになると予測を立てているのは有名な話です(2045年問題)。しかし、シンギュラリティはこの調子で行くと10年ぐらい前倒しになって2030年代の半ば頃にはもう到達してしまうのではないかという予想を立てる学者も出てきています。その起点となる年がひょっとして今年2026年だったとあとになってから歴史家が後世で烙印を押すことになるかもしれません。と同時に、2026年がAIによる失業の時代が幕明けしたAI失業時代の元年であったという例証が成り立つのかもしれません。これからまさに誰にも予想がつかない世界が私たちを待ち受けているということになりそうです。それはまだ始まったばかりの入り口であるといえるのかもしれません。

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記事執筆:酒井 謙吉
This article written by Ken Sakai
President & CEO
Pacific Dreams, Inc.

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