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アメリカから発信! HRMトーク 人事管理ブログ by Ken Sakai

2022年8月25日

HRMトーク2022年8月号「セクハラ防止トレーニングは継続しなければならない」

皆様もご存知のとおり、アメリカにあるいくつかの州では従業員にセクハラ防止トレーニングを必ず提供しなければならないと定める法律を制定しています。たとえば、カリフォルニア州やニューヨーク州、そしてイリノイ州などの州が該当します。これらの州に会社のある日系企業様は恐らく州法の要請に従いまして、セクハラ防止トレーニングを社内で実施しているのではないかと察します。ですが、本日の記事ではこれらセクハラ防止トレーニングは会社で1度やればそれでもうおしまいというものではないというところを取り上げてみたいと思います。

州法によって違いがあるのですが、カリフォルニア州ではトレーニングは2年に1回、ニューヨーク州とイリノイ州では毎年トレーニングを実施しなければならないとしています。また、新規入社の従業員に対しては、最初の3ヵ月間で一度提供するということが義務付けられています。つまり、セクハラ防止トレーニングは1度やればそれで終わりではないということです。毎年あるいは2年に一度、継続してトレーニングをしていかなければならないと定められているのです。そこで、この記事をお読みの日系企業で働く皆様にお尋ねしたいのですが、これら法律の規定に従って毎年あるいは2年に一度継続してトレーニングを果たしてお受けになっていらっしゃいますでしょうか。

州法でトレーニングを義務付けている州の労働局や監視当局は、州のウェブサイト上でセクハラ防止トレーニングのビデオをアップしてくれています。トレーニング自体、何も対面で行うことまでは義務付けられていませんので、媒体はビデオや録画であってもそれはかまわないことになっています。ですが、それらビデオは特にアップデートして毎年新しく更新されているわけではないようですので、翌年のトレーニング時期になっても、まったく同じビデオがアップされているだけで、それを再度見させてその年のトレーニング終了ということになるのでしょうか。そしてまたその次の年も同じビデオを見るという繰り返しになるのでしょうか。

確かに単に法律に従うという観点からすると、従業員に同じビデオを毎年見させることであっても、それはそれでトレーニングをしたことになるという解釈は維持できるかと存じます。ですが、いくらなんでもそれでは(昔の諺で恐縮ですが)「仏を彫って魂入れず」ではないかと言われても仕方ないと思われます。トレーニングを受ける従業員の人たちにとっても変わり映えのしないビデオを毎年見させられるだけでは、新鮮味はなく、新しく学ぶところはほとんどないかもしれません。つまりトレーニング自体の効果自体かなり疑わしいところがあり、トレーニング本来の目的や意義が果たせていないように感じられます。

セクハラはいまや単に職場で働く男性と女性の従業員の間だけに限定される問題なのではなく、社内外にいらっしゃるLGBTQ+ の人々へのハラスメントも含めたより包括的で広範でしかも多様性を有した喫緊の課題であり問題となっています。何年も前に受けたセクハラトレーニングとおのずとまったく同じ内容ではあってはおかしいわけです。社会はダイナミックに動いていますし、法律やルールは常時修正されたり、追加されたりします。必ずしもセクハラ防止トレーニングに限るわけではないのですが、会社が従業員に提供なされるトレーニング内容もそれらの動きや機微な部分をキャッチした最新のものであるべきものだと考えます。


記事執筆:酒井 謙吉
This article written by Ken Sakai
President & CEO
Pacific Dreams, Inc.

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