2019年1月10日

毎年のことになりますが、新しく年が明けるといくつかの州では州で定められている最低賃金(Minimum Wage)が改定され、最低賃金が上がります。最低賃金には連邦政府が設定しているものと各州ごとで設定されているものとがあり、さらに各都市や郡で設定されている最低賃金もあり、会社はどの最低賃金に従わなければならないのか、頭を悩ませることもあるほどです。さらにニューヨーク市やカリフォルニア州のように従業員数によって最低賃金が異なっていたり、オレゴン州やニューヨーク州、そしてイリノイ州のように州内の都市部と非都市部あるいは郡部との間でやはり、その設定に違いがあったりと、適切な最低賃金を把握すること自体、決してことはそう簡単ではないことがおわかりいただけるかと思います。

 

2019年1月1日からは全米にある17州においてこの最低賃金の改定が行われました。その結果、2009年7月からいまだに変更されていない連邦レベルの最低賃金$7.25を上回る最低賃金を設定している州は全米で29州、プラス、ワシントンD.C. となりましたので、連邦よりも高い最低賃金を設定している州の方がすでに多数派となりました。なお、適用となる最低賃金はいずれも基本的に時給で働いているNon-Exempt ステータスの従業員がその対象となります。

 

最低賃金を改定する州の中には、ニューヨーク州やワシントン州、そしてマサチューセッツ州のように州民直接投票や州議会での最低賃金法案の可決によって、数年単位ですでに将来の最低賃金レベルが決定済みの州も垣間見られます。そうなりますと、年が新たに明ければ、必ず最低賃金の改定があり、ほぼどこの州でも$15までの最低賃金レベル達成までのロードマップが決められていて、一度$15に到達すると、あとはその州の消費者物価指数(CPI)の変動に従ってやはり毎年最低賃金が改定されていくという仕組みになっています。ですので、アメリカが日本のようなデフレスパイラルの経済にでも陥らない限り、それらの州では毎年最低賃金は確実に上昇を続けることになります。

 

ちなみにニューヨーク州の最低賃金は、ニューヨーク市、ロングアイランド&ウエスチェスター郡、それ以外のニューヨーク市町村という具合に地域別に異なる設定がなされています。さらにニューヨーク市では従業員数10名以下と11名以上とでは設定に違いがあり、ニューヨーク市内にある11名以上従業員数がいる企業では$15 が2018年12月31日より改定された最低賃金となっています。(ニューヨーク市内にある10名以下の企業では$13.50)

 

一方のカリフォルニア州ですが、2019年1月1日から従業員数が25名以下の企業では$11、26名以上ですと$12となりました。カリフォルニア州ではさらに、各都市や郡の条例で最低賃金を設定しているところがいくつもあり、例えばシリコンバレーの中核を担う、サンノゼ市およびサンタクララ市の最低賃金はそれぞれの市の条例で$15となりました。

 

繰り返しになりますが、最低賃金はNon-Exempt 従業員がその対象ですが、基本的に残業代のない、給料がサラリーとして支払われるExempt従業員にも最低サラリー(Minimum Salary)という設定を州独自で設けている州が全米で2つだけあります。これもニューヨーク州とカリフォルニア州で、この2つの州だけは連邦政府の設定している最低サラリーであります、$455/week($23,660/year)よりも大幅に高い設定となっていますので、やはり注意が必要です。こちらExemptの最低サラリーも従業員数や職種などによって設定に違いがあり、単純ではありません。ちなみにカリフォルニア州では、Exempt の最低サラリーは、時給換算で州のNon-Exempt の最低賃金の2倍でなければならないと州法で独自の規定がなされています。

 

人口が多く、大都市がいくつも集まっていて、アメリカ経済の主要中枢部分を担っているニューヨークとカリフォルニアには、賃金やサラリーに関して、他の州には見られない多くの規制や細かい法令が制定されていますので、年が変わるたびに最新の最低賃金に関する情報をタイムリーに取得されることが肝要です。さらに皆さんの会社がある州や都市での最低賃金についてより個別に詳しくお知りになりたい場合には、この私、酒井の方まで直接ご連絡いただけましたら幸いです。

 

 

Ken Sakai

President & CEO

Pacific Dreams, Inc.

kenfsakai@pacificdreams.org

www.pacificdreams.org